kpcsr2019
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各種食品の軟包材をはじめ、化粧品や歯磨きのラミネートチューブ、医薬品向けの高機能包材など、相当量のプラスチックを取り扱っています。そのため、環境面においては、今後も課題への対応に向けた継続的な努力が必要です。喫緊の課題としては、バイオプラスチックの使用によるプラスチックの減量など、合理的な対処手段を検討していかなくてはなりません。また、これらは印刷業界全体の課題でもあります。プラスチックに負けない機能を持ち、加工性にも優れた紙の開発なども、製紙メーカーと協力して進めていきたいと思っています。蟹江: そのような素材で作られた容器が実現できれば、世界中に拡がる可能性がありますね。世界各国でプラスチックについての規制が進んでいますから、逆にそれが追い風になるはずです。今後、持続可能な社会を作ろうという気運はますます高まっていきますし、温暖化対策も企業を中心にしっかり進めようという大きな流れもあります。マーケットを拡げていく上でも大きな力になるのではないでしょうか。TOMOWELの理念を実現することで 社会的責任を果たし、 SDGsの目標達成につなげる蟹江: 一昨年発表したTOMOWELというコーポレートブランドは、CSRやサステナビリティの考え方を含んだものとお見受けしましたが、いかがでしょうか。藤森: TOMOWELには社員、お客さま、社会、地球環境などすべてのステークホルダーと良い関係を築いていきたいという想いが込められています。我々は製造業ですから、モノづくりを通じて社会に貢献することができます。昨今は環境への配慮など社会に貢献する付加価値がお客さまにも求められているので、それにきちんと応えることが、企業として取り組むべき基本的なCSRだと考えています。蟹江: 企業が社会に対して誤った付加価値を提供することがないように、事業を通じて解決すべき社会課題をうまく整理するツールが、SDGsです。SDGsの目標に自社のどの事業が合致するかを見極めた上で取り組むことで、正しい、サステナブルな価値を生み出すことが可能になります。さらに、サステナブルな付加価値に加えて、ストーリーが必要です。バリューチェーン全体でそれがどこから来てどのように廃棄されていくかという一連の製品ライフサイクルを踏まえたストーリーを重視することが、サステナブルな社会の一つのキーワードであり、本来の付加価値につながっていくからです。社会が変化するにつれて、付加価値も変わります。SDGsは2030年をターゲットとした目標ですが、その先も見据えた、未来の形がそこに描かれています。ですから、SDGsに沿って色々な取り組みを進めていければ後で慌てることがないと思います。多様性を力に、パートナーとともに サステナブルなストーリーを創造する蟹江: SDGsを見据えた取り組みの前提として、働き方改革やダイバーシティはどのようにお考えでしょうか。藤森: 企業にとってダイバーシティの重要性はいうまでもありません。当グループにもシニアや外国人、障がい者をはじめ多様な方々が在籍しています。すべての職場で差別なく、公平であることは大前提です。当社は、働き方改革推進室を設置し、一人ひとりが最大限に能力を発揮できる職場環境の構築をめざしています。具体的には、常時会社に来る方、サテライトオフィスで働く方、テレワークで働く方など、働く時間や場所によらない多様な働き方を通じて、ワークライフバランスの実現を追求しています。蟹江 憲史氏(かにえ のりちか)慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科教授、国連大学サステイナビリティ高等研究所シニアリサーチフェロー藤森 康彰(ふじもり よしあき)共同印刷株式会社 代表取締役社長 3

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