kpcsr2019
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 今年のCSR報告書に紹介されている働き方改革への継続的な取り組み、地方創生事業における独自性、そして健康経営に対する支援サービスに一読者として関心を覚えました。引き続きコンプライアンスや環境経営などへの真摯な姿勢と着実な取り組みも評価に値すると思います。 しかし、今回のレポートで最も強く印象に残ったのは、SDGsに代表される「サステナビリティ経営」と、「CSR」のつながりが見えづらいことでした。前半ではSDGsに触れ、後半においてCSRが取り上げられ、この二つが本来ならほぼシームレスに連動するはずなのに、別々の活動のような印象を受けます。これら二つに加え、ブランドコンセプトであるTOMOWELもまた別の存在に感じられます。 今後のサステナビリティ・CSR経営全般を共同印刷がどのように位置づけ、TOMOWELとの掛け算により、どんなストーリーを紡いでいきたいかを根本的に問い直す時期にきているのではないかと感じました。そのアプローチを考えるにあたり、今年のレポートを拝読し思ったことを挙げさせていただきます。◦TOMOWELを中心コンセプトに、社会課題解決×企業価値創出という「イノベーション」の側面と、粛々とメーカーとして取り組むべき「責任」の領域をわけてみてはいかがでしょうか。SDGsとCSRの分断が起きているようなイメージをこのアプローチで超えられるのではないでしょうか。つまり、TOMOWELの世界観を実現するために、イノベーションの側面と責任の側面を同時に追求するといった考えです。◦SDGsやサステナビリティを次なる「イノベーション・ドライバー」として、どのような取り組みが必要となっているか、事業部門のサステナビリティ分野のキャパシティビルディングとして何が求められているか、そして外部パートナーシップを強化するために何ができるかを検討してはいかがでしょうか。◦アウトサイドイン(未来、社会、外部ステークホルダー発)で、社会課題からどのような骨太の新規の事業機会が生まれ得るかの検討をより加速し、深化を図る必要があるのではないでしょうか。地域課題、健康経営など、確かに一部の社会課題発の取り組みは紹介されていますが、世界から日本にやってくるメガトレンド(プラスチックごみ問題がその一つ)の一層丁寧な分析により、もっと大きな、新規事業のタネが見えてくるような気がします。 共同印刷の真摯な取り組み姿勢が伝わるよい内容の報告書です。だからこそ、統合思考に基づき、さらなるサステナビリティ・イノベーションの推進に今後挑戦されることを期待したいと思います。プロフィール1967年デンマーク生まれ、1995年より日本で働く。2000年に環境・CSRコンサルティングを手掛ける(株)イースクエアを東京にて共同創業し、2011年まで代表取締役を務める。多数の日本企業に対して、環境経営・CSR経営に関する助言を行ってきたとともに、LOHASなどの新しいコンセプトを海外から日本に紹介。ピーター D. ピーダーセン大学院大学至善館特任教授一般社団法人NELIS代表理事リーダーシップアカデミーTACL代表 共同印刷グループのCSR活動に対して、貴重なご意見をいただきありがとうございます。 当グループの長期的な価値創造に向けたSDGsへの取り組み、ならびに事業基盤強化の一環である、人財側面における働き方改革、健康経営などの活動に評価をいただきました。 一方、ご指摘いただいたサステナビリティ経営をはじめとする提言については真摯に受け止め、改善に向けた取り組みを続けていきます。特に、企業価値向上に向けたアウトサイドインを起点にした事業機会の創出、なかでも海洋プラスチックごみ問題の解決に向けた取り組みは、営業部門、製品開発部門、管理部門による横断的な活動を始めています。 今後も、統合思考を持って、持続可能な社会の実現に貢献する企業をめざしてまいります。CSR本部本部長上席執行役員 富井徹也第三者意見を受けて第三者意見 41

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